ジュエルライブ マダムライブ

サラリーマン
Kさん
41歳 独身 営業マン


kyaba02
麗華 23歳 六本木勤務
指名料込1セット 20000円


キャバクラで働いて3年、今のお店に入店してから2年が経ちます。

前のお店ではずっとNo. 1を維持していましたが、もっと上を目指したいと思いお店を移る事にしました。

しかし今までとは比べものにならないくらいレベルが高くて、入店当時かろうじてナンバーに入る事はできたもののNo. 1には程遠かった。

それでも私にはキャバクラが全てで、ここでNo. 1になるという夢を叶える為、日々必死に働いていました☆

入店してから2ヶ月程経ったある日、友達同士で飲みに来ていたKさん。

たまたまKさんの席の側を通った私を見て、あの子呼んでとボーイに告げたらしく、席に着く事に。

そのとき私は指名のお客さんが2人被っていたので、Kさんが呼んでくれなければ出会う事はなかったかもしれない(^○^)

「キャバクラにはよく飲みに行くんですか〜?」
「結構行くけど高級店はあんまり行かないんだよねー」
「え〜どうしてですか??」
「高いじゃん(笑)」

え(笑)
この人お金使わないタイプなのかな( ̄◇ ̄;)

「でも、安いお店とは全然ちがうでしょ〜?」
「うん、やっぱり高いだけあるよねー。麗華ちゃんほど綺麗な子見た事ないよ!」

綺麗とか美人とか毎日何十回も言われるし、昔から言われて慣れてるけどやっぱり褒め言葉は何回言われても嬉しいなぁ♪( ´▽`)

何か飲みなよ〜と言われたものの、普段よく飲んでる1杯6000円のグラスワインはさすがに引かれるだろうと思い、とりあえず無難なドリンクを選ぶ。

乾杯して一口飲み、テーブルにグラスを置いた瞬間

「そろそろお時間です」

ボーイから時間終了のお知らせ。

「どうする?」
友達が、Kさんに声をかける。

どうやらKさんの友達は場内指名もしておらず、帰りたそうな雰囲気。

「延長でー!!」
Kさんは友達の意見を聞かず(笑)即答で延長してくれました☆

「ありがとうっ(≧∇≦)」
とびきりの笑顔を作り、Kさんと友達にお礼を言うと
「ダメだ〜俺一目惚れしたわ〜」
と言って笑うKさん。

友達も私も笑っていると、私を呼びにまたボーイが( ̄◇ ̄;)

「ごめんね、ちょっと行ってくるね!」

他のお客さんの席に着いて、最後にKさんの席に戻ってきてもちょっとしか居れないなぁ…
果たしてもう1回延長してくれるのだろうか。

そんなことを考えながら席を立ちました。

数十分後、
「ただいまぁ〜!!」
「おかえりー!待ちくたびれた!」

Kさんの席へ戻ると、待ちくたびれたといいながらも笑顔で待っていてくれたo(^▽^)o

余談ですが、私が苦手なお客さんのタイプはというと…
指名が被ると怒る人。
他の指名の席から帰ってくると、不機嫌になっている人。

指名が被ってしまう事、こればっかりはどうしようもないし指名の数は私の努力の賜物であって実力の証なのです。

とは言っても、私の事が好きでお店に来てくれているお客さんからしてみれば、頭ではわかっていてもいい気分かと言ったらそうではないはずです。

それでも不機嫌になったり怒ったりせず、笑顔で待っていてくれる思いやりのある人は、私にとってはいいお客さんだなぁと思います☆

話がずれましたが(>人<;)

その後もKさんと別のお客さんの席を行ったり来たりしながら、結局ラストまで延長してくれました☆

「また来るねー!」
「ありがとう〜!連絡するね!」

それから連絡は取っていたものの、なかなかお店には来てくれず1ヶ月が経ちました。

普段なら、出会ってから1週間以内にまた来店してくれるお客さんがほとんど。

Kさんと初めて会った時、高級店は高いからあんまり行かないって言ってたもんな〜(ーー;)

でもこの時は、1回しか会った事のないKさんに執着することもなく、まぁ仕方ないか〜くらいにしか考えていませんでした。

私は基本お店が営業している日は休まず毎日出勤しています。

週の半分以上は同伴をしていて、指名のお客さんが来ない日は無いです。

ある日、珍しく指名が被っていなかったので、同伴してから数時間ずっとそのお客さんの席についていました。

お客さんも機嫌が良いのか、次々にワインやシャンパンを入れてくれて楽しく飲んでいると

「麗華さん、お願いします」
ボーイが私を呼びにやって来ました。

「ちょっと待っててね!」
お客さんにそう言い、ボーイについていくと、奥の席に。。

「よっ!!」
なんとKさんが1人で座ってる( ゚д゚)

「え〜!びっくりしたぁ〜!」
驚きながらも隣に座る。

「しばらく空いちゃってごめんね。会いに来たかったんだけど、ここ高いからさぁ〜!」

また値段の話か。(笑)
今日は予算大丈夫なのかなぁ〜。

「最近あんまり連絡も取ってなかったから、もう来てくれないのかと思ってたよぉ〜」
「ごめんごめん、俺普通のサラリーマンだからさ〜安いキャバクラばっか行ってるよ!(笑)」

そうですか…(笑)
あははは〜と笑いながらも、たまにしか来てくれないのならその1日にどれだけたくさん使ってくれるのかな、と考えていた。

「何か飲みなよ!」
「う〜ん、じゃあワインにしようかなぁ〜」
「いいよ〜」

前回頼むのを躊躇したワイン。
ボーイを呼び、注文する。

しばらくしてソムリエさんが来て、これは何年もののどこどこのワインで…とKさんに説明をするが、全くちんぷんかんぷんの様子。

そりぁそうだよね、かなりワインに詳しい人じゃない限り、あれだけベラベラ喋られても何のことだかさっぱりだよね(笑)

もちろん私も全くわからないもん( ̄◇ ̄;)

「なに?この店ワインのソムリエなんているの?」
「うん、そうだよ」

へぇ〜と感心しているが、グラスに3口程で無くなってしまいそうなワインを見ても、値段を気にする様子は全くない。

「ワインの値段気にならないの?」
「え?全然。麗華ちゃんが飲みたいもの飲んでほしいし、今日は金あるから大丈夫。」
「じゃあこのシャンパンが飲みた〜い!」

冗談交じりでメニューから高いシャンパンを指差すと…

「飲んじゃうか〜!!」
「え!本気!?」
「え?本気だけど!」

冗談で言ったつもりなのに…
今日はお金あるって言ってたけど、本当に大丈夫なのかな?(つД`)ノ

チラッと腕時計を見ると、あと少しでさっきのお客さんの席に戻る時間になりそうだ。
シャンパンは後にしよう。

「とりあえずこれもう一杯もらってもいい〜?」
「いいよいいよ〜!!」

Kさんと会うのは2回目。
まだどんな人だとか、いまいち把握できてないから今日は慎重に。。

その後ボーイに呼ばれ、席を立つ。

数十分後Kさんの席に戻ると満面の笑みで、おかえり〜!と言ってくれた。

「さっきのヘルプの子面白かった〜!」
「退屈しなかったんだね、よかったぁ」

ヘルプの子の情報なんて、正直どうでもいい。(笑)

「さっきのシャンパン本当にいいの??」
「いいよ〜!俺が店に来てる時は、金の心配しなくて大丈夫だから!さすがにヤバい時は言うけどね」

なるほど。
じゃあここは甘えて頼ませてもらおうっと(o^^o)

「俺こんなシャンパン見たことないよー。すごいわー」
ボーイが運んできたシャンパンを見て興奮気味なKさん。

「いただきま〜す!」

久々に飲んだなぁ。。
まさかKさんがこれを入れてくれるなんて。

嬉しくてずっとここに座っていたかったけど閉店2、3時間前に指名のお客さんが数人来店したので、最後の方はほとんど席に着けず。

それでもラストまでいてくれて、また来るねー!と元気よく帰っていった。

それからまた1ヶ月経ってもKさんはお店に来なかったけど、前とは違い毎日連絡を取り合っていました☆

2ヶ月後。
また連絡も無しに突然お店に来たKさん。

「よっ!!」
「久しぶり〜!」

いつものように満面の笑みを浮かべ、私に座るように促す。

「会いたかったよ〜」
「私も会いたかったぁ〜」
「今日は何飲む?」
「ワインがいいな〜」
「またワイン?好きだねー」

グラスワインを飲みながら、最近の出来事とか、普段行く安いキャバクラがどうだとか、たわいも無い話をしていると。

「今日はシャンパン何にする?」
「え、今日も??」

今日は、ってどういう事?(笑)
Kさん的に、私に会いに来る=シャンパンってなってるのかな??

「格好つけたいでしょ、好きな女の子の前では」
「嬉しい〜!メニューもらう?」

ボーイからメニューをもらいKさんに見せると、この辺かな〜と指差す。

この辺って…結構高いけど( ̄◇ ̄;)
でもお金の心配はされたくないんだよね。
今日もKさんに甘えよう☆

「じゃあこれがいい!」
「いいよ〜」

グラスに注がれたシャンパンを飲みながら、Kさんが呟く。

「俺ね麗華ちゃんを初めて見たとき、こんなに綺麗な子いるんだって驚いたんだよ」
「あ〜、言ってたよね〜」
「あの日からさ、よく行く店の指名の子が全く可愛いと思えない」
「え〜そんなに〜?」
「マジで。」

だったらもうそこには行かないで。
私にだけ会いに来てくれればいいのに。

でも、まだそんな事言えるほどの関係ではないもんね。

シャンパンを飲み干し、ありがとう、とKさんに微笑む。

それからKさんは月に1、2回の頻度で来てくれるようになり、突然お店に来ては、毎回シャンパンを入れてくれる。
お会計が高くても気にせず、いつもご機嫌で帰っていく。

同伴もアフターも外で会ったことも1度もない。

面倒な事は言わないし、私の事が好きだと言いながらも、指名が被っていても快く行ってらっしゃいと言ってくれて。ちゃんと仕事を理解してくれてる。

こういうタイプのお客さんってなかなかいなくて、色恋営業をしてる訳ではないけどやっぱり私を好きでみんな来てくれてるから。。

Kさんのような人は珍しいし、私にとってはとても有難かった。

Kさんと出会ってから徐々に売り上げを伸ばし、毎月少しずつナンバーも上がっていきました。
もちろん他のお客さんのおかげでもあるけど、Kさんが1回に使う額は結構大きい。

そんな関係が続いて数ヶ月。

またいつもの如く、Kさん突然の来店。

「よっ!!」
「あれ〜びっくりした〜!」

この間来店してからまだ1週間しか経ってない。

「麗華ちゃんにどうしても会いたくて来ちゃったよー!」
「嬉しい〜!!」

今日もシャンパンを飲み、Kさんはご機嫌。

「Kさんって、同伴アフター全然誘わないよね」

「だって忙しいでしょ?俺全然お店来ないし迷惑だと思って」

「そんな事ないのに〜!」

アフターは正直行く気なかったけど、そろそろ同伴してくれてもいいのになって内心思ってたの。

でもKさんいつも連絡無しに突然お店に来るから、同伴の約束なんてできるのかな??

「ねぇ次いつ会えるかなぁ?」

「う〜ん、いつだろうな〜」

やっぱり。
約束はしないんだね。

「Kさんとご飯食べに行きたいな〜」

「え、本当?行ってくれるの?」

「もちろんだよぉ〜!今度はご飯食べてから、お店で飲まない??」

「麗華ちゃんがいいなら、俺は全然オッケーだよー!!」

あぁ、行ってくれるんだ。
断られると思ってダメ元で誘ったから、ホッとひと安心。

今日も私はあっちこっち指名の席を行ったり来たりで。。

一方、Kさんは食事に誘われた事がよほど嬉しかったのか初めてVIPルームを使ってくれて、終始ご機嫌でヘルプの子にもドリンクを飲ませまくり(笑)
結局シャンパン4本を開け、帰っていきました(^○^)

同伴の日程はメールでやり取りして、ちょうど1週間後に決まりました☆

六本木周辺のレストランはあまり詳しくないとの事だったので、私がよく同伴で使ってるお店で食事をする事に☆

当日。

マンションのエントランスに並ぶソファの中央に座り、タクシーを呼ぶ。

待ってる間にKさんに電話をかけると。。

「もしもし?」
「もしもーし!俺もう着いてるよー!待ってるねー!」

え!早っ!!
待ち合わせ時間までまだ30分もあるのに(; ̄O ̄)

でも時間にルーズな人って苦手だから、さすがに早すぎるけどKさんがちゃんと時間を守れる人でよかった(笑)

タクシーに乗り込み駅前へ。
そわそわしてるKさん発見!!

「お待たせ〜!」
「おー!麗華ちゃん私服も可愛いね〜」

そっか、Kさんと私服で会ったことなかったもんね。
可愛いって言ってもらえて嬉しい♪( ´▽`)

「じゃあ行こっか」

ごく自然に、Kさんの手を握ると照れたようにはにかみながら
「同伴する時は、お客さんと手繋ぐの?」
「ううん、Kさんと繋ぎたいだけ。」

これは本当。

他のお客さんと同伴する時、腕を組むことはよくあるけど。
でも手を繋ぐことはない。

手を繋がれそうになったときは、私腕組むほうが好き〜とか言って逃れてる。(笑)

どうしてKさんと手を繋いだのか?

今思い返してみても、理由なんてわかんない。

手繋ぎたいな〜って、ふと思ったの。

話は戻って、手を繋いだまま数分歩くとすぐレストランに到着(o^^o)

予約しておいたコース料理を2人で美味しく頂きました☆

お腹いっぱいご飯を食べた後はお店へ行き、またシャンパンを飲みながらこんな話に。

「麗華ちゃんとご飯食べに来れるなんて夢にも思ってなかったなー」

「私もKさんとここまで仲良くなれるなんて思ってなかったぁ〜」

「全然店に来なかったから?」

「うん。それに他のキャバクラでよく飲んでるって言ってたし。」

「俺もう麗華ちゃんだけでいいかも。」

「またそんな事言って〜!Kさんキャバクラ好きだもんねぇ〜」

「いや、マジ。マジだよ。マジで。」

マジマジ連呼するから思わず笑いそうになりながらも、私だけでいいかもっていう言葉、本当なのか確かめたかった。

だって前から思ってたんだもん。

言えずにいたけど。

私だけにして欲しいって。

「夢と言えばさぁ〜麗華ちゃんって将来こうなりたいとか、夢みたいのある?」

「あるよぉ〜。将来の夢ではないけど、叶えたい夢はあるよ」

「何!それ超知りたいわ!」

「え〜、内緒ぉ〜!!!」

「うわぁっ出た、内緒とか!!(笑)」

このお店で、No. 1になりたい。

それが私の叶えたい夢。

私だけにして欲しい、理由。

他のキャバクラに行くのをやめたら、もっとお店に来てくれるのかな…

私がNo. 1になる為には、Kさんが必要なの。

この時はただただ、それだけだった。

本当なの?って、あんまりしつこく聞いてもダメだと思ったから、この話はここで終わっちゃったんだけどね。

でもねこの日はじめて同伴をしてから、Kさんとの距離が一気に縮んだ気がする(^○^)

あれからしょっちゅう同伴に誘ってくるようになったし、同伴ではなくても週に数回お店に来てくれるようになった。

それに前回VIPルームを使いすっり気に入ったようで、それからというもの毎回同じ部屋を使うようになりました。

それでも、前に比べて1日で使う額が減っているわけではなく。
いつも必ずシャンパン数本あけて帰っていくの。

気付けばKさんは私の数いるお客さんたちの中で、1番お金を使ってくれる存在となっていました。

おかげで売り上げは右肩上がり。

翌月。

遂にNo. 2にまでなる事ができた。

月日を増す毎に来店頻度が増えていくKさんだけど、私に見返りを求めてきたことは一度もありません。

同伴で美味しいご飯を食べて、お店で高いお酒を飲んで、楽しい時間を過ごすだけ。

お店でたくさんお金を使ってくれるお客さんは何人もいるけど、求めてこない人なんて殆どいない。

私を手に入れたいから、お金を使う。

それは私と寝たいのか、付き合いたいのか、囲いたいのか、人それぞれだけど。

手に入りそうで入らない。。

どんどんお客さんはお金を使ってくれるようになる。

でもKさんは出会って半年以上経ってもずっと変わらない。
なんか逆にそれがいいのか悪いのか。イマイチうまく言葉で表せないけど…

Kさんが私に求めることは、失礼な言い方かもしれないけど、全て簡単に答えられることばかり。

だからこそ、不安もあって。
どうしても繋ぎ止めておきたい。

もう少しで、No. 1になれるの。
あと少し。あと少し。。

ピピピピピピ…

あ〜。もう起きる時間かぁ。

携帯のアラームを止め、仕事用のもうひとつの携帯をチェック。

起きたらすぐ仕事用携帯をチェックして、お客さん一人一人にメールの返信を打つことから私の1日は始まります。

Kさんからも、メールが来てる。

〈おはよ〜。起きたら電話して〜〉

電話してだなんて珍しいなぁ。
寝起きで誰とも話したくない気分だけど、起きちゃったし電話しよ。。

「もしもし〜」
「あ、起きた?」
「起きたぁ〜」
「今日同伴の約束ある?」
「ないよ〜」
「じゃあ俺と同伴しよー!」
「いいよぉ〜」

Kさんが当日いきなり同伴を誘ってくるなんてはじめての事。

だからと言って特に気にもとめず、出かける準備を始めました。

「Kさ〜ん!!」

必ず私より先に待ち合わせ場所に来ているKさんを発見し(笑)
タクシーの窓を開け手招きをする。

私に気付いたKさんもタクシーに乗り込み、お店近くのお寿司屋さんへ。

「急に誘っちゃってごめん〜」
「全然大丈夫だよ〜!!他に約束もなかったし」

何回もこのお店に2人で来てるけど、シャンパン片手にウニを食べるのが大好きなの(^○^)

ウニばっかり並ぶ私のお皿を見て、Kさんいつも笑うんだぁ(笑)

「かなり前だけどさ〜、麗華ちゃんの夢って何って聞いたじゃん」
「あ〜、うん。」
「俺多分だけどわかったよ」
「なになに?」

「麗華ちゃんってさ、負けず嫌いでしょ」
「さすがKさん、よくわかってる〜」
「それにすごい一生懸命だよね」
「そうかなぁ」

「No. 1に、なりたいんでしょ」

本当にあてられた(笑)
うん、と頷きながらウニを頬張る。

No. 1になりたいって隠してたわけでは全くないけど、、
いざこう言われると恥ずかしいような、なんて言うか…

とりあえず大好きなウニを食べて気持ちを落ち着かせてみる。

「全然隠す事じゃないのに!!俺めっちゃ応援したいよー!」

応援したい、って言われてすごく嬉しかった。
今でも十分すぎるくらいKさんには助けられてるけど…

「ありがとう〜。でもねやっぱり、No. 1の壁はなかなか厳しいよぉ〜」

「あと少しじゃん」

あと少し。

そうだよ。

あと少しだけど、その少しが越えられないんだってば。。

「負けず嫌いだから、1番になりたいっていうのもあるんだけど」

「けど?」

「私にはキャバクラが全てなの。今までキャバクラでしか働いた事ないし、ココ以外で働こうと思った事なんてないの。」

そう。私にはキャバクラしかない。

キャバクラなんてくだらない、水商売は社会で生きていけない人間が住む場所だ。

過去にそう言われた事がある。

でもそんな他人の言葉なんて、どうだっていい。

大袈裟に聞こえるかもしれないけど、私はこの世界で生きていくって、頑張っていくって決めたの。

「俺がNo. 1にしてあげる」

「…え?」

「ごめん、うそ、冗談、なんか、ごめん!!」

あきらかに挙動不審。(笑)
カミカミだし、おでこから汗めちゃくちゃ出てきてるよ(笑)

「俺も!!!麗華ちゃんが、No. 1になったところ見たい。1番近くで見たいよ!!」

悔しくて、泣いた日もあった。

他の女の子に負けたという事実も、自分の実力の無さも、悔しくて悔しくて。

こんなに頑張ったのに。
お店でも家でも休みの日でも、365日そんなの関係なく頑張ったのに。
そんな風に思ったりもした。

でも結果が全ての世界で、その過程なんて誰も見てないし数字に表れなければ意味なんてない。

「ねぇ、さっきのもう1回言って」

「…やだ!!!!(笑)」

Kさんを信じても、いいのかな。

お寿司屋さんを後にしてお店へ行き、ドレスに着替えて店内へ行くと。

「麗華さん、今日は何か特別な日ですか?」

そうボーイに言われ、Kさんお気に入りのVIPルームへ通される。

「どうして?KさんいつもVIPだよ?いつもと同じだよ」

ボーイが答える前に、その意味がわかった。

私のお店にはVIPルームが数部屋あり、ランクによって値段が変わる。

Kさんがいつも使うのはその中でも1番安い部屋。

なのに、今日は1番高い部屋に案内された。。

ボーイが開けた扉の先には、2人ではとても広すぎる部屋に落ち着かなそうに座っているKさん。

「値段が変わると全然違うね〜俺ひとりでどこ座ればいいのかわかんなかったよ(笑)」

「なんでこの部屋?いつものところ空いてなかったの??」

「さっき言ったじゃん、麗華ちゃんの為に出来ることは何でもするから!」

「そうだけど…」

「今日1日でっていうのは無理だけどさ。俺ほんっとに麗華ちゃんの事が好きなんだよなぁ〜」

Kさんお気に入りのシャンパンを、今日はいつもの倍ぐらいの数あけて

定番フルーツ盛り合わせも
「ヘルプの子も食べたがるでしょ。女の子はフルーツ好きでしょ。」とか言って3つ注文して(笑)

お会計が普段より大幅に高い金額になってても、全く気にする素振りを見せず。

「ねぇ麗華ちゃん〜」

「ん?なぁに??」

「…今日仕事終わったら、外で会える?」

今まで1度もアフターには誘ってこなかったKさん。

それとなくアピールしてきたことも、1度もなかった。

今日このタイミングで、閉店間際の今、アフターの話を切り出してきたということは。

間違いなく。

私をNo. 1にする代わりに、、っていうことだよね。

今日1日、Kさんの気持ちがすごくすごく嬉しかった。
充実感もすごくあった。

Kさんを信じようって、思った矢先だったから、、

でもね、こうなるかもしれないって、心のどこかでは思っていたの。

「アフターに誘ってるの?」

とりあえず何か言わなくちゃと思って、聞いてみた。

「アフター?うーん。うん。アフターかなぁ」

ここで断ったら、またと無いチャンスを逃すことになるかもしれない。

せっかくここまで来たのに。
これで最後になっちゃうのは嫌だ。

それに、Kさんなら、いいかな…

「わかった。」

閉店時間になっていたので、隣のビルのバーで待ち合わせをし、Kさんはお店を後にしました。

「麗華ちゃ〜ん!」

バーの扉を開けるとKさんはすぐに私を発見し、手を振る。

「何飲む?」
「ワインかなぁ」
「麗華ちゃんがワインとシャンパン以外飲んでるところ見たことないよね〜」
「好きなんだもん〜」
「俺は麗華ちゃんが好きなんだもん〜」
「うるさいなぁ〜!(笑)」

少しだけ、緊張してたの。

お客さんと寝たのは過去に1度だけで、このお店に移る前のこと。

でもいつものKさんの雰囲気に、緊張も解れていく。。

バーを出た後、何も言わずとも2人の足はホテル街の方へ向いていた。

この辺りで1番高級そうなホテルへ(外観で判断しただけ。笑)Kさんの手を取り、入っていきました。

「わぁ〜すごいね、ここ」

まさか露天風呂付きのホテルがあるなんて知らなかった。(笑)

「本当にいいの?麗華ちゃん無理してない?」

…もう、覚悟は決めたの。

「嫌だったら、断ってる」

記事タイトル:売れっ子キャバ嬢「麗華」の回顧録

服を脱ぐ瞬間が1番恥ずかしかった。

売れっ子キャバ嬢なんだから、いろんなお客さんと寝てるんだろって思ってる人が多いことは知ってる。

そんなデマが、噂になったことだってある。

でもね、そんなの嘘だよ。

私本当に枕ナシでここまでのぼってこれたんだよ。

プライベートでも全くご無沙汰で、ホテルに来たのも数年振り。

この日、私はKさんと寝ました。

罪悪感もあった。

でも。

必死に私を求めてくれて。

何でだろう、一瞬でも、幸せを感じたの。。

その日を境にKさんは、お店へ来るたび毎回1番高いVIPルームを使うようになりました。

時には友達を何人も連れて来てくれる事もあって。。

そんな時は普段に増してご機嫌で高いシャンパンを山ほど入れてくれる。

もちろん友達と割り勘という訳にもいかず、3桁のお会計もKさんが半分以上払っていた。

Kさんが言ったように、、
本当に、たくさんたくさん私の為にお金を使ってくれた。

あと、もうひとつ。

その日を境に、週に1回はKさんとホテルに行くようになっていました。

行為が終わった後は必ず、私を愛おしそうに抱きしめてくれる。

そして毎回帰り際には10万円の入った封筒を私に渡してくるの。
最初は受け取るのを躊躇してたんだけどね。

たまに、Kさんと出会ったばかりの時のことを思い出す。

高級店には行かない。
値段が高い。

そんなことを言っていたのに。

次会うまでに1ヶ月以上の間隔が空くなんて当たり前で。

それが今は、ここまで変わった。

全ては私の為に。。

Kさんが、私をNo. 1にすると豪語したときから翌月。

月末恒例のナンバー発表。

【No. 1 麗華】

目を疑った。

本当に、私をNo. 1にしてくれたんだ。

夢が叶ったんだ。。

プルルルルルル…

「もしもし!!!」
「もしもし?どうしたのー?」

ついさっきお店から帰っていったばかりのKさんに、どうしても今すぐこの結果を伝えたい。

「今どこ!?」
「友達とその辺ふらふらしてるよ〜」
「すぐ来て!お店の前!!」

封筒には入りきらない給料が入れられた紙袋を店長から受け取り、書類にサインをして。

ダッシュで更衣室へ行き私服に着替えて、もう1度電話。

「もう着いた?!」
「着いてるよ〜早く〜」

店前に行くと、ひとりで暇そうに立っているKさんの姿が。

「Kさんっ!!」
「お〜麗華ちゃん、どうしたの急に」
「うん、ごめんね、とりあえず入ろう」

いつも待ち合わせているバーへ行き、ソファに座りワインを頼む。

「急に呼び出してごめんね」

「いやーびびったよ(笑)まだ六本木にいたからよかったけど」

「どうしても今、会って話したい事があって」

運ばれてきたワインをグイッと一気に飲み干し、本題へ。

「で、話なんだけど」

「うん」

「さっきナンバー発表があって」

「うん」

「No. 1に、なってた」

「え!!??本当!?」

「うん、本当。」

それを聞いた瞬間Kさんの顔が一気に綻び、心なしか薄っすら涙を浮かべているように見えた。

「1番に、伝えたくて…。私がNo. 1になれたのはKさんのおかげだから」

「ううん、麗華ちゃんの実力で、No. 1になれたんだよ」

ちがうよ。

Kさんが私をNo. 1にしてくれたんだよ。

キャバクラを始めて5年。

果たして何処が頂点なのか定かではないけれど…

私にとって1番叶えたかった、ここでNo. 1になるということ。

Kさんに出会わなければ叶わなかったかもしれないし、叶ったとしてももっともっと先の話だったかもしれない。

「ねぇ」

「ん?」

「本当に、ありがとう。」

「俺の方こそ麗華ちゃんに出会えて良かった。ありがとう」

1ヶ月経ち、半年経ち、1年経ち。

No. 1になる事よりも、No. 1になってからが、本当に大変だった。

維持することは大変。

負けたくない。抜かされたくない。

このお店で、1年間ずっとNo. 1を保持できたのは、紛れもなくKさんが居てくれたから。

Kさんはずっと、変わらず私の為に尽くしてくれたし、私もKさんの為に尽くしました。

そして24歳になってから2ヶ月後、新たな夢が出来た私は、今度はその夢を叶える為。。

6年間のキャバクラ人生に幕を下ろしました。

それでも。

しばらくはKさんと会っていました。

食事に行くかバーで飲んで、ホテルへ行きお金をもらう。

そんな関係がもう1年以上続く。

私は次第にKさんをお客さんとしてではなく、ひとりの男性として見ていました。

でもKさんとは、お金の関係だから。。

そう自分に言い聞かせて、自分の気持ちを押し殺してた。

好きになるほど、お金の関係であるという事実がツラかった。

いつものように食事をしてからホテルへ行き、帰る準備をしている時。

「麗華ちゃん。」

「なに〜?」

「ごめん、本当にごめん。もう会えない」

…え?どうして??

頭が真っ白になった。
どうしていきなりそんなこと言うの?

「もうお金が底を尽きた。」

お金なんていらない。
私はお金なんていらないよ…

「俺、麗華ちゃんのこと大好きだった。」

もっと早く自分の気持ちに気付いていたら。

もっと早くKさんに気持ちを伝えていたら。

結局私はなにも伝えられないまま、Kさんとお別れする事になってしまいました。

素直に伝えられていたら。
今でも一緒に居れたのかな。

でも、あの頃の私にとってはキャバクラが全てで。
そのキャバクラで、Kさんと出会えたこと。

私の夢を叶えてくれたKさんを、この先も忘れることはありません。

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