ジュエルライブ マダムライブ

私は子供の頃から、ずっと勉強ばかりしてきた。
おかげで成績は良かったし、いい大学にも行って、大手企業に就職した。
勉強や仕事の面では充実していたけど、そのぶんおしゃれをしたり、色んな場所に遊びに行ったり、まともに男性と付き合ったりしたことはなかった。
最近になって、27にもなって、これはどうだろうかと思い始めた。

私には五つ下の妹がいて、先月結婚した。
妹は可愛くて、クラスの人気者タイプだ。
いつもニコニコしているので、自然と人が集まってくる。
成績で言うなら私の足元にも及ばないのに、両親はそれを怒ることもなかった。
むしろ、私よりも妹のほうを可愛がっているふしさえあった。

三流の短期大学を出て、地方の小さな会社に就職して、寿退社。
相手は冴えない地方公務員。
多分、私よりも年収は低いだろう。
それなのに、妹は幸せそうだ。
妹がお洒落してお化粧して遊びに行っている間、私は机にかじりついて勉強してきたのに、どうして妹の方が幸せそうなんだろう。
どうして私は満たされないんだろう。

私も人並みに恋愛がしてみたい。
中学や高校、大学時代に告白された事は何度かあったけど、私は勉強の事しか頭になかった。
社会人になってからも、食事やデートに誘われても、社内の人間というだけで、問答無用で断っていた。
上手くいかなかったら気まずいし、会社の人間と仕事以外で何を話していいのかよくわからない。
男性を紹介してくれるような友達もいないし、会社では真面目で気難しいイメージがついているせいか、コンパや飲み会に誘われるようなこともない。
ナンパしてくるような男は論外だった。

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結果として、私が取った手段は、ハッピーメールという出会い系サイトに登録することだった。
出会い系なんていかがわしいイメージしかなかったけど、渋谷の109に大きな街頭看板が出ているのを見て、いかがわしい会社ならあんなに堂々と宣伝するまいと思った。

登録を終えて、しばらくサイト内を探検してみた。
やはり肉体やお金目的の人もいるけど、純粋に出会いや趣味友達を求めている人もたくさんいるとわかった。

プロフィール作りには苦労した。
まず、写真がどうやっても可愛く撮れない。
顔の全貌を載せるつもりはなかったけど、思い切って口元くらいは写そうと考えたのだけど…。
自分が可愛いとか美人とか言われるタイプでないことはわかっていたけど、いざ自分のパーツをカメラに写してみると、なんとも魅力がない。
自動的に画像修正されるようなアプリを使っても、実際会ったときにガッカリされそうだ。
私は可愛く写メを撮るのは諦めて、他の部分を充実させることにした。

攻略サイトなどによると、プロフィールは出来る限り正直に、かつ前向きなコメントを書いたほうがいいとのことだった。
正直に書くとどうしてもネガティブになりがちなので、出来るだけ前向きに、正直に自分の生い立ちや希望を書き連ねていった。

色々な人がメールをくれたけど、軽薄そうだったり、怖そうだったり、こちらの意向を無視して性的な要求をしてくる人だったりと、中々相手に恵まれなかった。
メールの送受信よりも、無視機能を多様することになった。

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登録してから一週間ほどで、ようやくまともに話ができそうな相手が見付かった。
航さんという、同じ都内に住む40歳のおじさんだ。
年齢を知って最初はガッカリしたけど、同年代や若い人が相手だと、むしろこっちがガッカリされるだろうと思いなおし、この航さんというおじさんと話をするようになった。
勿論、恋愛対象としてではない。
まずは、知らない男性と話をする事に慣れなくてはと思った。

航さんは、私のどんな話にも真摯に耳を傾けてくれた。
見知らぬ相手だと思うと、不思議と普段は友達にも言えないような事でも話せた。
私はだんだん、航さんと話をするのが楽しみになっていった。

航さんと連絡を取り合うようになってしばらくすると、航さんは私に会いたいと言ってきた。
「友達として、どうかな?会って、沙織さんとランチでもしながらお話しできたらいいなと思って」
私は少し考えさせて欲しいと言い、数日悩んでから、OKした。
お互いに地元では会いにくいだろうからということで、池袋駅で待ち合わせをした。

航さんは年齢より若くて、三十代半ばでも通るくらいの見た目をしていた。
若い頃は多分モテただろう。
快活な笑顔で私を出迎え、池袋駅そばのブルックリンミルズというお洒落なお店に連れて行ってくれた。

ドアを開けてくれたり、椅子を引いてくれたり、まるでお姫様みたいな扱いをしてくれる。
私は今まで男性からそんなふうに接してもらった事がなかったので、相手が一回り以上年上のおじさんだとわかっていてもドキドキしてしまった。

サラダを取り分けてくれたり、飲み物がなくなりかけるとメニューを渡してくれたりして、やることなすこと、全て気が利いている感じ。
航さんのスマートなエスコートで、私は柄にもなく饒舌になり、最近あった事や、ニュースの話題、航さんの個人的なことなど、矢継ぎ早に喋り倒した。

1時間以上かけてランチを終えた。
ランチ代を払うと言ったけど、航さんにやんわりと拒否された。
「すみません」
私が頭を下げると、
「こういう時はね、にっこり笑って”ご馳走様です”って言っておけばいいんだよ」
航さんは、自分自身がにっこり笑ってそう言った。

そういうものなのか。
一応男性に出してもらった事は何度かあったけど、そういう時は、必ず「すみません」とか「申し訳ないです」とか言っていた気がする。

西部池袋の空中庭園を散歩して、その日は解散した。
「女の子は暗くなる前にお帰ししないとね」
27にもなって”女の子”と言われるのがくすぐったかったけど、嬉しかった。

その次に会った時は、池袋西口のマリナイオというイタリア料理のお店でランチをした。
お店を出て、私は教えられたとおり、
「ご馳走様です」
と言ってみた。
にっこり笑えていたかどうかはわからないけど、航さんは、
「うん、その方が断然魅力的だよ」
と褒めてくれた。
男性から”魅力的”なんて言われたのは初めてだ。

その日は、ランチの後で東池袋中央公園を歩いて、サンシャイン水族館へ行った。
くらげのトンネルがとても綺麗だった。
航さんといるとすごく楽しい。

その次の時は、南池袋のHiKaRi cafe & diningでランチして、東京芸術劇場でクラシックのコンサートを聴いた。
なんだかデートみたい。

それから、池袋サンシャインシティのコニカミノルタプラネタリウムを見に行った。
横並びのシートで星を見ていたら、航さんが急に手を繋いできた。
すごくびっくりしたけど、イヤじゃなかった。

その後、古代オリエント博物館を見学した。

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ここでも、航さんはごく自然に手を繋いできた。
私は男の人と手を繋いで歩くのも初めてで、すごくどぎまぎしていたから、せっかくの展示物がほとんど目に入らなかった。
手のひらに汗をかいてしまって、恥ずかしい。

この日は、初めて航さんとディナーに行った。
ジュンク堂のすぐそばにあるラシーヌというオーガニック料理のお店で、緑がたくさん飾られていて落ち着ける雰囲気だった。
自家製のパンがモチモチですごく美味しい。
食べるのとおしゃべりで夢中になっていたら、
「沙織ちゃん、口にパンの粉がついてるよ」
と言って、航さんがナプキンでぬぐってくれた。
子供みたいで恥ずかしいけど、なんだか嬉しかった。

その次のデートは、まずロクシタンカフェに行った。
航さんはお洒落なお店をたくさん知ってる。
女の子が喜びそうなお店をチョイスしてくれて、聞き上手で、女の子が喜ぶ言葉を沢山言ってくれる。
きっと今まで沢山の女の子とデートしてきたんだろうなと思う。
なんで私みたいな、がり勉タイプの地味な女と付き合ってくれるのだろうか。

カフェを出て、池袋HUMAXシネマズで映画を観た。
映画館で、航さんはまた手を繋いできた。
航さんの手は大きくて、触られていると安心できる。

東急ハンズの8Fにある”ねこぶくろ”に行った。
可愛いネコがたくさん居て、癒される。
私の膝の上に、毛足の長いネコが乗ってきた。
背中を撫でていると、航さんも手を伸ばしてその子を撫で始めた。
航さんはネコの背中だけじゃなくて、あごの下とか首筋とかを引っかくように触るので、その度に私の太ももやお腹の下あたりに航さんの手が触れた。
私はドキっとしたけど、航さんは気にしているふうでもなかった。

それから、旧江戸川乱歩邸へ行った。
最近、航さんと歩く時は自然と手を繋ぐようになったので、この時もそうして歩いていた。
傍から見たら年の離れたカップルに見えるだろうか。
「僕は推理小説には明るくないんだけど…」
と言いつつも、航さんは乱歩について、私も知らないようなエピソードや人となりなんかを面白おかしく聞かせてくれた。
文学について博識な人は好きだ。
これが流行の芸能人やドラマの話だったら、私はついていけない。

この日は、サンシャイン劇場で舞台も観劇した。
こういうものを観るのは初めてだったけど、なかなか面白い。
劇場を出た辺りで、航さんが私の腰を抱き寄せてきた。
私は自然とくっついて歩く形になり、ドキドキが止まらなかった。
恥ずかしくて航さんの顔が見れない。

夜は金のイタリアンに食事しに行った。
今日観た映画や舞台の話をしながら過ごした。
私は勧められるままワインを飲み、少し酔っ払ってしまった。

その後、サンシャイン60展望台で夜景を見た。
男の人と来たのは初めて。すごくロマンチックだ。
私が夜景に見とれていたら、航さんに抱きしめられてキスされた。
13も年上のおじさんが私のファーストキスの相手になったけど、航さんならいいやと思った。
周りには人もいて、普段なら恥ずかしくて仕方なかったと思うけど、お酒のせいでぼーっとしていて、あまり考えられなかった。

その次のデートは、タカノフルーツパーラーから始まった。

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可愛いサンドイッチと美味しいパフェを食べて、なんだかテンションが高くなってしまった。

軽いランチを終えて、ルミネ池袋にショッピングに行った。
私はあまり服とかは買わない方だ。
というか、お洒落の仕方がよくわからない。
ショップで店員さんに話しかけられるのも苦手なので、ほとんど通販で購入している。
航さんは、私が普段入らないようなお洒落なレディースファッションのお店に入って、
「沙織ちゃん、ちょっとこれ着てみない?」
と言っては、私が普段着ないような服を試着させた。

試着するたびに、航さんも店員さんも大げさに褒めちぎるので、恥ずかしくてたまらなかった。
「沙織ちゃんは美人だしスタイルもいいから、ああいう服も似合うよ」
お世辞だとわかっていても、航さんに言われると嬉しかった。
今度、通販以外の服も買ってみようか…、なんて気持ちにさせられる。

それから、池袋パルコでもウィンドウショッピングをして、フライング タイガー コペンハーゲンという北欧雑貨のお店ですごく可愛い小物を買ってもらった。
「そんな、出してもらったら申し訳ないです」
と恐縮する私に航さんは、
「こういう時は何ていうんだっけ?」
と笑いかけた。
「ご馳走様です…じゃなくて、ありがとうございます」
「はい、よく出来ました」
頭をぽんぽんされた。
人前でそんなことをされると、顔が赤くなってしまいそうだ。

その後、少し歩いて目白庭園を散歩した。
航さんが私の腰に手を回して、恋人同士みたいに寄り添って歩いた。
時々、航さんの手が下のほうに滑って、腰とお尻のあたりをさわさわしてくる。

夜は、GINTOというフレンチイタリアンのお店に行った。
すごく美味しかったけど、すごく高そうなお店で、私みたいに安っぽくて地味な服を着てる女の人は見当たらない。
なんだか恥ずかしくなった。
今日航さんに見立ててもらったワンピースを、今度買いに行こうと思う。

GINTOでも少しお酒を飲んだけど、その後、フジビルのShangri-Laという夜景が見える個室のダイニングで、更にカクテルを飲んだ。
薄暗い店内に、熱帯魚が泳いでる綺麗な水槽があって、私はもう夢見心地で、普段飲まない量のお酒を飲んでしまった。
お店を出る頃にはふらふらになっていた。

その後、どうやってホテルへ行ったのか覚えていない。
私の初めては、池袋のプティバリというラブホテルだった。
気がついたら服を脱がされていて、航さんの舌が私の口の中でうごめいていた。
こんなキスは初めてで、おかしな感覚がムズムズ体中を走っていた。
それから、胸を優しく舐められて、恥ずかしいところも舐められてしまった。
お酒で頭と体がふわふわして、ろくに抵抗もできないまま、私は生まれて初めてオーガズムを体験した。

航さんは優しくしてくれたけど、初めてはやっぱり痛かった。
私は航さんの背中にしがみついて、みっともない声ですすり泣いた。

初めてのエッチを経験して、私は27歳でようやく大人の女になった。
その次のデートから、航さんはデートの最後には必ず私をホテルに連れて行くようになった。
何度かエッチを繰り返すうちに、挿入しても痛くなくなった。
むしろだんだん気持ちよくなっていった。

航さんは私に色んな事を教えていった。
初めてアナルセックスをしたのは、カサブランカというホテルだった。

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お尻が壊れそうなくらい痛くて泣いてしまったけど、終わった後、航さんが抱きしめて頭を撫でてくれた。
「すごく気持ちよかったよ。沙織のヴァージンを二つとももらえて、僕は幸せだ」
航さんがそう言ってくれたので、お尻の痛みも喜びに変わっていくような気さえした。

色んな道具も使うようになった。
WILLCITY池袋で、スクール水着の上から電動マッサージ機を当てられて、私は潮吹きを経験した。

ピンクローターというものを膣内に挿入したまま、ラウンドワン池袋店でボーリングをしたこともある。
航さんは容赦なくスイッチを入れるので、私はイクのを我慢するのが大変だった。

エッチな言葉もたくさん覚えた。
航さんは、「沙織のオ〇ンコでイって」とか、「沙織のエッチなオ〇ンコとろけちゃいそう」とか、「セックス最高」とか言うとすごく喜ぶので、最初は恥ずかしかったけど、私はそのうち、自分からそういう言葉を率先して言うようになった。

最近では、航さんからLINEで『指令』が届くようになった。
「今日はノーパンで出勤しなさい」とか、「会社のトイレでオナニーしてる画像を送りなさい」とか言われる。
変態みたいですごく恥ずかしいけど、航さんが喜んでくれると思うと、何でも応じてしまう自分が居る。

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