ジュエルライブ マダムライブ

彼女に結婚を迫られている。

なんて言うと、自慢かよとか思われるかも知れんが、俺は真剣に悩んでいた。
今の彼女(結衣)と付き合いだしたのは、友達に紹介されてなんとなくが始まりだ。

正直、顔は好みじゃなかった。
でも俺もイケメンじゃないし、結衣は顔はブサいけど乳でかいし、彼女欲しかったし、俺にはこの程度がちょうどいいのかな、くらいの気持ちで付き合って2年。

そもそも俺の女性遍歴はすごく貧相で、玄人さん以外で言うと、
①高校の時童貞捨てさせてくれたクラスメイト(その後の交際なし)。
②大学入って付き合った彼女(卒業して遠恋になって自然消滅)。
③社会人になって出来た今の彼女。
以っ上!

ルックスで言うと、①ブサ、②まあ普通、③ブサ。
自分のこと棚にあげて酷いこと言ってるけど、自分がイケメンじゃないからこそ、一度でいいから、回りからうらやましがられるような可愛い子と付き合ってみたいっていう願望がずっとあった。
結衣とは、正直性格も趣味も合ってるとは言えない。
このまま安定だけを求めて結婚しちゃっていいのかな、って悩んでたんだ。

結構思いつめてたのかな。
普段出会い系とかやらないんだが、気がついたらワクワクメールに登録してた。

wakuwaku_bana

付き合えないまでも、結婚前に可愛い女の子とデートがしたい!って切実に思った。

探した過程とかは省くけど、かなり色々あったあげく、俺は陽子と知り合った。
同じ大分に住む28歳の女性だ。
俺より1コ上だけど、写真で見ると二十歳くらいに見える。
陽子は可愛らしい見た目に反して、ゲームが好きだったりゾンビ映画が好きだったり、これでもかってくらい趣味がよく合った。
この時点で俺は勝手に運命とか感じちゃってた。

オンラインゲームを一緒にやるようになって、毎晩ス〇イプで会話しながらゲームした。
声がまためちゃくちゃ可愛いくせに、性格はサバサバしてて、話せば話すほど陽子を好きになった。

で、ある時ついに「会いたい」って言ってしまった。
陽子は、意外なくらいアッサリ「いいよ」って言ってくれた。

上野の森口で初めて陽子と会った。
はっきり言って、最初は陽子の外見にひかれた。
でも、話してるうちに人間性とかも好きになってた俺は、陽子が多少ブサイクでも構わないって気持ちだった。
写真は可愛いけど、壮絶な加工がしてあっても陽子ならいいや…とか思ってた。
陽子は、ビックリするくらい写真通りだった。
可愛くて、すっげー清楚な感じ。
肌も綺麗で、二十歳前半にしか見えなかった。

seiso20

俺は今日この時のために生きてきたんだ!!って思った。(真剣)
「毎日話してるのに、こうやって会うとなんか緊張しちゃうね」
って笑う顔がめちゃくちゃ可愛いかった。

俺がメロメロになったって描写はさておき。
まずは大分シネマで映画を観た。
某有名ゾンビゲームを映画化した、例のやつだ。
有名無名に限らず、ゾンビ映画というのは突っ込みドコロが満載と相場が決まっている。
それを観て、あーだこーだとイチャモンをつけて盛り上がるのが正しいゾンビ映画の楽しみ方だと思う。
その点で陽子とも意見が一致していて、俺達は多いに盛り上がった。

天気が良かったので、五車堂でタマゴサンドをテイクアウトして、大分港を眺めながらベンチで食べた。

ooitakou

海がいつもより綺麗に見えるぜ…
とか寒いことを考えてたら、陽子はまだゾンビ映画の話しで盛り上がっていた。
タマゴサンド食べながらゾンビの話しをしてくれる女子とか、そうそういないと思う。
本気で運命の相手だと思った。

腹ごしらえして、水族館うみたまごへ。
デートで水族館はいいもんだ。

suizokukan

あの微妙な薄暗さが真密度を上げる気がする。
陽子は、イルカショーで異様な盛り上がりを見せていた。
イルカが芸を成功させるたびに、歓声をあげて手を叩いてた。
はしゃいでる横顔がまた可愛い。来てよかった。生きててよかった。

水族館を出たらもう夕方になってて、俺達はフェルメという店に食事をしに行った。
タルトとキッシュの店で、一度行ってみたかったらしい。
俺的には、タルトとキッシュってどう違うの?いや、そもそもキッシュって何?って感じだったけど、確かに美味かった。
食後に、陽子はベリーのタルト、俺はガトーショコラを頼んだ。
「そっちも一口ちょーだいっ」
って言って、陽子が俺の食べかけのケーキを…!
惚れてまうやろ!!(もう惚れてるけど)
「こっちも食べてみる?」
って聞かれたけど、俺はブルーベリーが苦手だった。
なんでタルトにブルーベリーなんか載せるんだよパティシエゴルァ!!!!!

最後に、大分ディズニーで夜景を見た。
いい雰囲気になったら陽子が俺に寄り添ってきたんで、思わず抱きしめてしまった。
嫌がられるかな、と思ったけど、陽子はむしろ抱きついてきた。
死ぬなら今がいいって本気で思った。

ooitayakei

陽子は可愛いし、ユーモアもあって、話しててすごく楽しい。
なんでそんな子が出会い系に登録して、しかも俺みたいなのと会ってくれたのか不思議に思って聞いてみた。

陽子が言うには、普段の自分はすごい猫かぶりで、大人しくていい人を演じちゃうんだって。
周囲の人間はそれを陽子の素だと思ってて、いつの間にか自分で作った自分像みたいなのから出られなくなった。
素のままの自分でいられる人と出会いたかった、みたいなことを言ってた。

そういうのって誰しもあるけど、限度を超えると辛いものなんだろうな。
俺とのやりとりの中では、完全に素で接したけど、俺が引いたりせずに楽しく話してくれたから、会ってみたくなったんだって。

次にまた会う約束をして、陽子を送っていった。

次の日、俺は結衣と別れた。
最低だと思われるかも知れないけど、大学の時の彼女も結衣も、「彼女欲しい」って気持ちありきの付き合いで、本当に好きとか愛してるって気持ちはなかったんだと思う。
あのまま結衣と結婚してたら、「俺の人生これで良かったのかな…」って一生思いながら過ごしてただろうし、他の可愛い子が現れたら間違いなく浮気してた。

unmei

陽子とはあれから何回かデートして、今では正式に付き合ってる。
寒いこと言うけど、陽子と出会って、俺は人を好きになるっていうのがどういうことか、初めてわかった気がする。
俺にとっては、本当に運命の相手だったんだ。

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