ジュエルライブ マダムライブ

賢二は、バカでスケベでガサツで下品で、車とおっぱいと漫画とゲームが大好きな、どうしようもない奴だ。
『賢さは二の次』という意味で賢二と名づけたなら、ぴったりのネーミングだと僕は思う。

優しいし、兄貴肌で面白いし、友達としてはイイヤツなんだけど、決して女の子に人気のあるタイプじゃあない。
顔だってブサイクだし。
服装だって、どこかのワゴンセールで買った、見るからに安っちい服を、びろびろになるまで着てるような奴だ。

なのに、そんな賢二には彼女が途絶えたことがない。
僕にはそれが、以前から不思議でしょうがなかった。

前の彼女と別れてから1ヶ月足らずで、賢二にまた新しい彼女が出来た。

紹介されて会ってみたら、美人系の巨乳メガネちゃんだった。
今まで、可愛い子からそうでない子まで、色んな彼女を見てきたけど、今回のはまた一段とレベルが高い。

僕は他人の色恋沙汰に首を突っ込むのはあまり好きじゃないので、これまで賢二に、彼女とどこで知り合ったのかとか、そういうことを聞いたことがなかった。
でも今回の彼女を見せられて、僕は思わず、長い間疑問に思っていた事を聞いてしまった。
「お前、いつもどこで彼女見つけてくんの?」

そうして賢二に教えられたのが、PCMAXだった。
僕は恩知らずにも、そんなに色んな子に会えるなら何でもっと早く教えてくれなかったんだと憤慨した。
だってお前今まで聞いてこなかったじゃん、と言われたけど。

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とにかく、僕は賢二に紹介されたPCMAXで、香住ちゃんという24歳の女の子と知り合うことが出来た。

出会い系に慣れてるような女の人はちょっと遠慮したかったんで、新人検索機能というやつで、登録して間もない子の中から絞り込んだ。

香住ちゃんは、杉並の私立保育園で先生をしてる子だった。
写真で見ると、篠〇愛ちゃんにちょっと似てる。
僕は豊島に住んでいたので、中野あたりで会うことになった。

中野駅北口で初めて香住ちゃんと遭遇。
写真で見るよりちょっと目が小さいけど、ほんわかした感じの、普通に可愛らしい子だった。
「今日すっごく楽しみにしてたんだ!」
って笑顔で言われて、僕のテンションも上がった。

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この日は、中野セントラルパークでフリマをやっていたので、散歩がてら見に行くことにした。
思ったより広くて、ずっと奥までブースが続いていた。

人が結構多いなー、と思っていたら、香住ちゃんがいきなり手をつないできた。
「はぐれないようにね」
って言って、香住ちゃんは手をつないだまま歩きだした。

多分、いつも子供相手にやってる行動がそのまま出たって感じだったんだと思うけど、いきなりだったんで何か異様にドキドキした。

一通りセントラルパークを歩いてから、グッドモーニングカフェで一休み。
メニューを見て、僕はふと、
「エッグベネディクトってどういう名前の由来なのかな」
と香住ちゃんに聞いてみた。
香住ちゃんは真剣な顔で少し悩んだ後、
「大統領の名前じゃないかな」
と答えた。

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僕の知る限りベネディクトという名前の大統領はいないはずだけど、それは言わずにおいた。

軽く昼食を食べてから、なかのZEROにプラネタリウムを観にいった。
プラネタリウムなんて観るのは何年ぶりだろう。
星に特別興味はなかったものの、夜の町並みとか、でっかい月とか星座とか、普通に綺麗だった。

観終わった後、香住ちゃんが
「ウチの保育園でも、前に一度子供用のプラネタリウムをやろうとしたことがあったんだけどね、部屋を暗くしたら泣いちゃう子が続出して中止になっちゃったんだ」
と話してくれた。
そういえば僕も幼稚園の頃、プロジェクターで映画上映とかする時に暗幕引かれるのがちょっと怖かった気がする。

その後、中野サンモールやブロードウェイのあたりをぶらついて、冷やかしでまんだらけに入る。
プリ〇ュアのコスプレ衣装を香住ちゃんに勧めてみた。
「修也くん、プリ〇ュアが好きなんじゃなくてミニスカートの女の子が見たいだけでしょ?」
と図星を付かれた。
「違うんだ!僕のためじゃなく、保育園で待っている子供達のために…!」
ってしばらく食い下がったけど、却下された。

それからデイリーチコで例の巨大ソフトに挑戦した。
スプーンを二つもらって1つのソフトクリームを一緒に食べたけど、間接キッス……とかホクホクしていられたのは最初だけだった。

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早く食べないと溶けたソフトクリームがぼたぼた落ちてくるので、味わってる暇もない。
口の中は冷たくて感覚がないし、そもそも8種類もの味が混ざってもはや何味なのかわからない。
それでも、香住ちゃんときゃーきゃー言いながらソフトクリーム食べるのはすごく楽しかった。

冷たいものをしこたま食べて寒くなったので、平和の森記念公園まで歩いて体を温めようということになった。
普段あんまり歩かないから、天気の良い日に外を歩くのは気持ちよかった。
途中、スモールデリラボという店でコーヒーをテイクアウトする。

休日だけあって、公園内は家族連れで賑わっていた。
子供もたくさんいて、香住ちゃんは
「子供の声を聞くとなんか落ち着くんだぁ。職業病かな」
って笑ってた。

もともとほんわかした雰囲気の子だけど、子供を見てる時の香住ちゃんは特に優しい顔をしてると思う。
僕もこんな先生に可愛がられたかったな。

夕飯は、ターブルドペールっていう牡蠣が美味しい店に行った。
巨大ソフトのせいであんまり腹は減ってなかったけど、貝類好きだし普通に美味かった。

ところで、僕はこのデートの2日ほど前に、仕事で腕を怪我をして何針か縫っていた。
傷自体は全然大したことないんだけど、医者から抗生物質ってやつを出されてて、それを欠かさず飲まないといけなかったのね。
で、香住ちゃんにもそのことは話してあったんだけど、ターブルドペールでそろそろ食べ終わるなって頃に、香住ちゃんが店員さんに、
「すみません、お薬を飲みたいのでぬるま湯もらえますか?」
って言ってくれた。

なんか僕、すごいじーんときてしまった。
そういう気遣いの出来る子っていいよな…。

店を出てから、もう一度夜のセントラルパークを通って帰ることにした。
木にランタンみたいな明かりが吊るされてて、すごく綺麗だった。
昼間とは違う場所みたいだ。
ぼーっと見とれてたら、香住ちゃんが手をつないできた。
「はぐれないようにね」
フリマで賑わっていた日中と比べて、はるかに人の少ない公園を、僕たちははぐれないように手をつないで歩いた。

後日、この美しいエピソードを賢二に教えてやったら、
「お前それ、完全に男子力負けしてんじゃんwww」
と爆笑された。
本当にガサツで無神経な奴だ!

まあでも、賢二には感謝してる。
香住ちゃんみたいないい子と出会えたのも賢二のおかげ…いや、PCMAXのおかげか?

mizugi

その後も香住ちゃんとは何度かデートして、今度海に行く約束をした。
香住ちゃんがどんな水着を着てくるか想像して、僕は最近ずっとにやにやしてる。

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