私が初めてヒカリちゃんを見かけたのは、会社帰りで駅へ向かう道の途中だった。
市営の古びたテニスコートの中を、ヒカリちゃんは軽快な足取りで走り回っていた。
体にフィットする水色のTシャツや、高い位置で結わえたポニーテールがすごく爽やかで、私のようなくたびれた中年オヤジには、違う世界の生き物に見えた。
白い短パンからすらっと伸びた、しなやかな脚がまぶしかった。
その時はただただ、若いっていいなあと思った。
その後も、会社帰りに何度かヒカリちゃんを見かけた。
あまりジロジロ見ると、いかにも醜悪なエロオヤジになってしまうので、あからさまに見つめるような事はしなかったけれど。
快活な笑顔や明るい笑い声があまりにも魅力的で、私はいつしか年甲斐もなくヒカリちゃんに魅かれていった。
一年ほど、ヒカリちゃんを遠目に見る生活が続いた。
結婚に失敗してから、私はPCMAXを利用していた。
何人かお金目当ての女の子とエッチした事もあった。
しかし、肉欲を金銭で処理してもらっている感じが強くて、どうにも楽しめなかった。
だから最近はあまり頻繁にログインしていなかったのだけれど、その時はたまたま、暇つぶし感覚でログインしたのだった。
そして、本当にたまたま、一発検索(指定した地域の書き込みが一斉に表示される機能)を使って、近場の女の子の書き込みを閲覧していたら、私はそれを見つけてしまった。
『テニス女子です☆別3即OK。イケメン割引ありw』
最初は勿論、それがヒカリちゃんの書き込みだなんて思わなかった。
ただ、”テニス女子”という言葉からヒカリちゃんを連想して、フラッとその書き込み主のページを見に行った。
プロフや日記に載せられた写真を見て、私は愕然とした。
顔こそボカしてあるものの、手足の形や輪郭、時々写っているテニスウエアやポニーテールの感じが、ヒカリちゃんにそっくりだった。
まさかまさかと思いながら閲覧を続け、私は決定的なものを見つけた。
ヒカリちゃんがサーブを打とうとしている姿を、第三者が撮ったと思しき写真。
その背後に写っている、ツタの絡んだ緑のフェンスの向こう、つつじの植え込みと街路樹が設置された歩道を覆う、モザイク調のタイル。
それは間違いなく、私が会社の行き帰りに通る道だった。
五井駅そばの市立中央図書館の前で待つ私に、ヒカリちゃんは警戒気味に声をかけてきた。
「〇〇さんですか?」
私がそうだと答えると、ヒカリちゃんは露骨に嫌な顔をして私をにらみつけた。
「こういうのすごく迷惑です。私がテニスしてるコートを知ってるとか、そういう事言ってくるのってストーカー行為じゃないんですか?それを盾に女性を呼び出すなんて最低です。次やったら警察に行きますから」
早口にまくしたてられて、私は呆然としてしまった。
確かに、PCMAXでヒカリちゃんを見つけてから、私は彼女にメールを送っていた。
『〇月〇日の日記に写っているのは、〇市の〇〇にある市営のテニスコートですよね。私は何度かそこでヒカリさんを見かけたことがあります。良ければ会ってお話してみませんか』
一日後、ヒカリちゃんはOKの返事をしてくれた。
メールでのやたらとカタイ口調は、緊張しているせいだろうと思っていた。
待ち合わせをわざわざ市原市にしたのも、地元ではデートしにくいからだろうと。
しかし、ヒカリちゃんは私を悪質なストーカー男と決めつけ、しょっぱなから汚い物でも見るような目で見てきた。
図書館前なんて、随分初々しい場所を選ぶなと思っていたのに、それは私を警戒してのことだった。
素性の知れない男とあまり人気のない場所に行くのは怖かったのだろう。
かといって人の往来のある駅前ではしにくい話だし、図書館前はヒカリちゃんにとって、私を糾弾するのに丁度良い場所だったということだ。
対面を果たしてから、上総更級公園を談笑しながらゆっくり散歩するつもりだったのは、私だけだった。
「二度と連絡しないでください。それじゃ」
言いたいことを言って、ヒカリちゃんはさっさと背中を向けた。
私は自分の中で、何かが壊れたような感じがした。
疲労と虚無感にさいなまれる仕事の帰り道で、元気にテニスをするヒカリちゃんの姿だけが救いだったのに。
ただ楽しくおしゃべりして友達になれれば、お金と引き換えに体を差し出すような女の子でも構わなかったのに。
裏切られた気分だった。
「お友達は知ってるのかな?別3即OK。イケメン割引ありですーって」
私が背後から声をかけると、ヒカリちゃんはすごい勢いで振り向いて、恐ろしい形相で私をにらんだ。
「私の周囲に言いふらすつもりですか?そんなことしたら警察に行きます」
「さっきから警察警察って言うけど、だったら最初から警察に行けば良かったじゃない。私はただ、自分の生活圏内にあるテニスコートであなたを見かけたことがありますよって言っただけだし、あなたが出会い系サイトで売りをやってるってお友達は知ってるの?って聞いただけだよ」
「………」
ヒカリちゃんは怒った顔のまま、言葉を飲みこんだ。
羞恥のためか怒りのためか、顔が真っ赤になっている。
「…何が望みなんですか?タダでセックスさせてあげれば黙っててくれるんですか?」
それは、私の中にほんの少しだけ残っていたヒカリちゃんの清らかなイメージが崩壊した瞬間だった。
「とりあえずご飯を食べに行こうか。お昼だし」
五井駅そばの田中屋レストランというステーキの店に入った。
二階の座敷には、私達以外客の姿はなかった。
「何でも好きなもの頼んでいいよ。おじさんのおごりだから」
「いりません。あなたとご飯食べる気とかないんで。それよりどうしたいのか言ってください」
「じゃあまずお昼をご一緒したいな。ヒカリちゃんこそ、私にして欲しいことがあるなら、そういう態度は感心しないなあ」
「………」
相変わらずまなじりを吊り上げたまま、ヒカリちゃんは乱暴にメニューを開いた。
注文を終えてから、二人きりになった和室でヒカリちゃんが口を開いた。
「〇〇さん、何が目的なんですか。私をどうするつもりなんですか」
「そうだな、今日一日、私のリクエストにヒカリちゃんが応えるっていうゲームをしない?リクエスト全部に応じられなくても、一日ゲームに付き合ってくれたら、私が見たことは全部忘れるっていうルールで」
「なんですかそれ。一日付き合ったからって、〇〇さんが私のことを黙っててくれるって保障はないじゃないですか」
「まあ、確かにないね。口約束だけになるけど、嫌なら断ってくれて構わないよ」
「断るって…、だって、どうせ断ったら言いふらすんでしょう?」
「そんなことしないよ」
「嘘つかないでください。ならどうして私を呼び出したりしたんですか」
「困ったな。私の言う事を1から10まで信じないんじゃ話が進まないよ。何て答えたら満足なのかな」
からかうようにそう言うと、ヒカリちゃんは射殺さんばかりに私をにらみつけた。
「わかりました。今日一日言う事を聞けばいいんですね。ある程度拒否権もあるっていうルールなんですね」
「そうそう。どうしても嫌な事は拒否していいよ」
「もし後日、私の事を言いふらしたりしたら、本当に警察に行きますから」
「うん、それで構わないよ」
かくして、私とヒカリちゃんのゲームが始まった。
昼食を終えて、私はアリオ市原というショッピングセンターにヒカリちゃんを連れて行った。
「好きなお店でワンピースを一着選んでくれるかな。ロングスカートでなければどんなのでもいいよ。お会計は私が済ませるから、試着室で着替えて、今日はその格好で過ごそう」
今日のヒカリちゃんはパーカーにジーンズという、非常にラフな格好をしていた。
ストーカーに話をつけに行くのにお洒落する人もいないだろうけど、こうなった以上、私としては少し色気のある格好をして欲しい。
ヒカリちゃんはぶすっとした表情のまま、一番最初に入った店で一番最初に目に入ったワンピースを選んだ。
着飾ろうとか、似合う服を選ぼうとかいう気はさらさらないという態度だ。
ヒカリちゃんの心境を思えば無理もないとはいえ、可愛さ余って憎さがなんとやら。
私は試着室に向かうヒカリちゃんに、
「言い忘れたけど、下着はつけないでね」
と耳打ちした。
ヒカリちゃんは心底軽蔑するような目で私を見て、
「それはお断りします」
と言う。
「そうか、じゃあゲームはここで終わりだね」
「何言ってるんですか!拒否権はあるって言ったじゃないですか」
「拒否権はあるけど、拒否した後もゲームを続けるなんて一言も言ってないよ」
「そんなの詐欺じゃないですか。卑怯です」
「ならゲーム終了でいいじゃない」
「だって一日付き合えなかったら言いふらすんでしょう」
「だからそんな事言ってないってば」
「…もういいです。わかりました」
唾を吐きかけるようにそう言って、ヒカリちゃんはやけくそ気味な足取りで試着室に入っていった。
殺伐としたショッピングを終えて、私たちは北五井緑道へやって来た。
「お散歩する前に、下着履いてないかチェックさせてもらおうかな」
「嫌です。何であなたに見せなきゃいけないんですか。しかもこんな屋外で、誰かに見られたらどうするんですか」
「誰も居ないし、見られたとしてももう一生会うこともない知らない人だよ」
「そういう問題じゃありません。とにかく嫌です」
「そう、じゃあゲーム終了でいいんだね」
「………あなた、最低ですね」
短い押し問答の後、ヒカリちゃんは嫌そうに顔をそむけてスカートをまくり上げた。
上は白、下はグレーと黒がしましまになったデザインのワンピースは、適当に選んだ割にはよく似合っていた。
私はテニスウエアやジャージ姿の彼女しか知らなかったので、急ごしらえで買った赤いパンプスが妙になまめかしい。
スポーツ少女だったヒカリちゃんが女の格好をして、道端で陰毛をさらしている。
下のヘアのお手入れはしない派のようで、黒々とした縮れ毛がモサっと生えていた。
刺激的すぎる絵だ。
「よし、ちゃんと脱いでるね。じゃあ少し歩こうか」
「…っ……ぅ…」
ヒカリちゃんは恥辱のあまり泣き出してしまった。
少し可哀想な気もしたが、この女は金で体を売って、イケメンには割引サービスするようなビッチだからと思い直した。
「ほら、ヒカリちゃん、行くよ」
うつむいてその場を動こうとしないヒカリちゃんの尻を、私は家畜にするようにバシンと叩いてやった。
「イヤッ」
ヒカリちゃんは身をよじって私の手から逃れるように遠ざかり、それ以上何かされないように、泣きながらも歩き出した。
途中、犬を連れたおばさんとすれ違った。
”目を真っ赤にして歩く若い女の子を連れた中年オヤジ”という図式を、かなり怪訝な目で見ていた。
彼女は私達の関係をどう思っただろうか。
注意されて泣いている部下とその上司?
叱責された娘とその父親?
年の離れたカップル?
いずれにせよ、よもや羞恥プレイの最中とは思わなかっただろう。
その後も、私はヒカリちゃんを色んな場所に連れまわした。
市原ぞうの国では、ノーパンのままぞうに乗らせたり、ぞうの鼻にぶらさがらせるアトラクションをさせたりした。
ヒカリちゃんは顔を真っ赤にして、もう許してくださいと泣き言を言っていた。
山倉ダムにあるこどもの国キッズダムでは、ローラースケートをさせた。
残念ながらヒカリちゃんは普通に滑れるようで、元々運動神経がいいこともあって、すっ転んでスカートの中身が大公開なんていうハプニングはなかった。
ただ、ノーパンなのが気になって仕方ないのか、そろそろとおっかなびっくり滑るので、まるで初心者のようだった。
私はリンクの外からニヤニヤとその姿を眺めて過ごした。
それから、レンタルサイクリングでタンデムの自転車に乗って、後ろからヒカリちゃんのおっぱいやお尻を触ったり、下着をつけていないことを揶揄して遊んだ。
「どう?ノーパンのオ〇ンコにサドルが食い込むんじゃない?スカートでクリが擦れちゃうかな」
「下品な事言わないでよ、変態!!」
「あれ、乳首が立ってるね。ノーパンサイクリングで興奮しちゃったかな?」
「イヤっ、触らないで!!人に見られる!」
「ほらほら、ちゃんと自転車こがないと。早く一周できれば、それだけ早く終われるよ」
ヒカリちゃんは私を罵倒しながらも、テニスで鍛えられた健脚ぶりを見せ、私は彼女の邪魔をすべく、スカートごしにアナルをつっついたり、卑猥な言葉であおったりした。
ちびっこ広場でターザンロープをさせることには成功したが、トランポリンだけはどうしても勘弁してくれと泣きつかれた。
私がトランポリンを免除する代わりにホテルに行くならと条件を出すと、ヒカリちゃんは精も根も尽き果てたという感じでがっくりとうなだれた。
今日一日散々恥辱プレイをされて、とうとう疲れ果てたようだった。
鶴舞にある温泉宿風ルーナ市原というホテルに行った。
露天風呂とハンモックのある和室が空いていたので、チェックイン。
ヒカリちゃんは最早反抗する気力もなくして、呆けたような表情で私に従った。
まず露天で体を洗わせ、私の乳首を舐めさせたり、緑の見える屋外でフェラチオをさせたりした。
露天横のソファ風の椅子に大また開きで座り、嫌がるヒカリちゃんにアナル舐めを強要したりもした。
爽やかスポーツ少女が泣きながらアナルを舐める姿は圧巻だった。
それからハンモックの上でヒカリちゃんを四つんばいにさせて、マ〇コやアナルを好きなようにいじくるという遊びをした。
ハンモックで四つんばいの姿勢をとるのはなかなか難しそうだったけど、ヒカリちゃんは運動神経がいいので、最初にちょっと支えておいてあげるだけで、私の望んだポーズをとることが出来た。
アナルをいじくると、ヒカリちゃんは、
「そこはヤメてっ!イヤっ!!」
と叫びはするものの、バランスをとるのに必死で身動きがとれないようだった。
体の自由が利かないのをいいことに、私は執拗にアナルを舐めたり指を出し入れしたりして、ヒカリちゃんが嫌がる様子を堪能した。
本番はベッドで、ゴムをつけずに挿入した。
「ヒカリちゃん、生で入れちゃうよ、いいね?」
「ああ、もう…好きにして…」
自暴自棄になったヒカリちゃんは、もう私の言いなりだった。
ベロチューも好きなだけできた。
嫌だ嫌だと言っていた割に、ヒカリちゃんのマ〇コはぬるぬるだった。
ヒカリちゃんはイってないと頑なに言い張ったけど、行為中に3回ほど膣が収縮するのを感じた。
今にして思うと、ヒカリちゃんは”脅されながら無理やり恥ずかしい事をさせられる”というシチュエーションを望んでいたのではないかと思う。
それはきっと、私の思い込みではない。
あのデートの次の日、ヒカリちゃんからこんなメールが届いたからだ。
『どうせこれからも私をいいようにするつもりなんでしょう?今度は何をすればいいんですか?』